右京動物病院

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椎間板ヘルニア・進行性脊髄軟化症に対する緊急手術

手術中の様子

当院では近隣のMRIセンターと提携の元、椎間板ヘルニアおよび進行性脊髄軟化症(しんこうせいせきずいなんかしょう)に対する緊急治療を積極的におこなっております。
セカンドオピニオン、他施設からの紹介も受け付けております。特に進行性脊髄軟化症の治療は命を助けるために緊急性を要しますので、診断を受けられた方、疑いのある方は早急にご連絡ください。

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椎間板ヘルニアについて

椎間板ヘルニアとは多くの方がご存知の通り、ダックスフンドをはじめとした犬種に生じやすい病気です。脊椎の間にある椎間板物質が逸脱することによって神経である脊髄を圧迫し、腰の痛みや後肢麻痺を引き起こします。
椎間板ヘルニアのグレードはⅠ〜Ⅴの下記のように分けられますが、特にグレードⅢ〜Ⅴのような完全麻痺の出ている症例では神経回復のためにも早急な手術が必要になってきます。

グレード 状態 脊髄軟化症の発生率
背部の痛み 0%
歩様がふらつく 0%
歩行ができない 0.6%
排尿困難・皮膚感覚消失 2.7%
痛みの完全消失 14.5%
逸脱した椎間板物質を除去します

手術はMRI検査もしくは造影CT検査の後、ヘルニア部位を確認して、逸脱した椎間板物質を摘出します。その後リハビリなどを通して、回復を目指していきます。

当院はCT検査装置を完備しているので、一度の麻酔で診断から手術までを実施可能です。
(通常ではCTもしくはMRI撮影のために全身麻酔を施し、手術の際に再度麻酔をかけるため負担が伴います。)
また術後のリハビリ、内科治療においても当院在籍の中獣医鍼灸師がリハビリと東洋医学を用いて早期の回復を目指しています。
外科手術に関しては日本動物病院協会 外科認定医の院長が執刀いたします。
内科治療、外科治療どちらにも対応可能ですので、椎間板ヘルニアの疑いがある方は迅速にご来院ください。

進行性脊髄軟化症について

進行性脊髄軟化症は椎間板ヘルニアの発症後、脊髄の障害が上行性(頭の方)に進行・壊死し、最終的には1週間ほどで死に至るという恐ろしい病気です。また有効な治療方法が存在しないということで、多くのワンちゃんが今も命を落としています。この病気のことを知らない飼い主様も多く、まさか椎間板ヘルニアで命を落とすなんて…と思われている方も多いでしょう。
実際の症例の脊髄外観は以下の写真のように黒く変色し、切開を加えると内部の脊髄が液体のように溶けてしまっています。この軟化現象が進行することで最終的に呼吸停止を引き起こします。

黒く変色した脊髄
液状に軟化(壊死)した脊髄
脊髄軟化症のMRI写真

確定診断は実際に軟化した脊髄を確認することですが、近年では画像診断の進歩によりMRIと経過より診断を下せるようになりつつあります。

その発生率は最新の論文上の報告では椎間板ヘルニア全体で2.0%(ⅠおよびⅡでは0%、Ⅲでは0.6%、Ⅳでは2.7%、Ⅴでは14.5%)と低くはあるものの、グレードⅤの症例では比較的高率で発生します。(J Vet Intern Med 2017;31:498–504 )

しかし当院では2014年より脊髄軟化症に対する外科的治療を積極的に実施しており高い救命率を誇っています。2020年12月に院長平野が執筆した論文がイギリスの論文誌BMC Veterinary Researchに掲載され、97%の救命率であることを示しました。
(こちらより論文内容はダウンロード可能です。)

 

脊髄軟化症の治療条件

しかし治療の大前提として以下の条件があります。

  1. ① 前足がまだ完全に麻痺していないこと。(前足の神経反射の確認)
  2. ② MRI検査を撮影する必要があること。(障害部位の確認のため)
  3. ③ 歩けるようにはならないこと。(命を救うための治療で一生の介護は必要)

これらの条件を満たしていれば、たとえ進行性脊髄軟化症であっても命を救うことができると当院では考えています。確かに一生の介護は大変ですが、懸命に介護すれば長い生涯を幸せに全うすることができます。※

進行性脊髄軟化症と診断を受けた方、疑いのある方で上記の条件を満たす方は可能な限り早くご連絡ください。(ホームページ問い合わせフォームであれば夜間でも連絡可能です。)
この治療は時間との戦いです。全国的に脊髄軟化症の治療を積極的におこなっている施設は他にありません。当院では現在も西は九州、北は北海道まで多くの問い合わせや治療実績がございます。当院のある京都まで何とかして来ていただければ、スタッフ一同全力で治療に当たらせていただきます。

※院長・平野の愛犬「小豆」は5歳のときに椎間板ヘルニアグレードⅤを発症し、回復は見込めず下半身麻痺の一生を過ごしました。しかし家族の愛情を受け、16歳半年という長い生涯を生き抜いてくれました。ご家族の愛情と覚悟があれば、動物は麻痺など気にせず強く頑張ってくれます。愛する家族の命を諦めてほしくありません。この病気で亡くなる子がいない世の中になるよう祈っています。

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