避妊手術って本当に必要!?【獣医師がわかりやすく5分で解説】
避妊手術のメリットは?
避妊手術(卵巣または卵巣子宮の摘出)は、健康管理の一環として行われる重要な処置です。
以下のような大きなメリットがあります。
● 病気の予防につながる
避妊手術を行うことで、以下の病気を予防・大幅にリスクを下げることができます。
• 子宮蓄膿症(命にかかわることも)
• 乳腺腫瘍(特に初回発情前の手術で予防効果が高い)
• 卵巣腫瘍
● 望まれない妊娠の防止
万が一外に出てしまった場合でも、避妊していれば妊娠する心配がありません。望まれない命を増やさないためにも、大切な選択です。
これらは高齢になるほどリスクが上がるため、若いうちの手術が重要です。
● 発情期のストレスをなくせる
発情期の鳴き声や行動の変化(落ち着かない・食欲不振・マーキングなど)は、飼い主さんにとってもストレスの原因となります。手術によりこうした行動は見られなくなります。
避妊手術のデメリットや注意点
もちろん、避妊手術にはデメリットもあります。手術を受ける前には、こうした点も理解しておくことが大切です。
● 麻酔や手術によるリスク
全身麻酔をかける手術ですので、わずかですがリスクはゼロではありません。
ただし、事前に健康チェック(血液検査など)を行い、リスクをできるだけ回避したうえで手術を行います。
● 太りやすくなることも
避妊後は代謝が落ち、食欲が増すことがあります。そのため、術後は体重管理や食事内容の見直しが必要です。
当院では術後の食事指導や体重チェックもサポートしています。

避妊手術のタイミングは?
● 初回発情前(生後6ヶ月前後)が理想的
特に乳腺腫瘍の予防効果を最大限に活かすためには、初回発情前の手術が推奨されています。
ただし、体格や犬種、発育状態によっても適した時期は異なるため、事前に獣医師とご相談ください。
避妊手術の方法と選べる術式
右京動物病院では、避妊手術において2つの術式をご用意しています。
わんちゃん・ねこちゃんの状態や、飼い主さまのご希望に応じて、ご自身で術式をお選びいただけます。
● 開腹手術(一般的な避妊手術)
お腹を小さく切開し、卵巣または子宮を摘出する方法です。
当院では、従来の結紮法だけでなく、**血管シーリングシステム(LigaSureなど)**を使用したより安全で出血の少ない方法も選択できます。
こんな方におすすめ:
- 実績の多いスタンダードな方法を希望
- 費用を抑えたい

● 腹腔鏡手術(内視鏡手術)
数mmの小さな傷口からカメラと器具を挿入し、モニターを見ながら卵巣を摘出します。
傷が非常に小さく、術後の痛みが少ないのが特徴です。
また、出血量が少なく、回復も早い傾向があります。
こんな方におすすめ:
- 術後の痛みやストレスをできるだけ減らしたい
- 傷跡を目立たせたくない
- 術後の回復を早めたい

手術当日の流れと入院について
手術は基本的に日帰りです。
当院での一例をご紹介します。
【手術当日の流れ(例)】
- 朝ごはんは抜いて来院(絶食が必要です)
- 健康チェック・麻酔前の血液検査
- 午前中に術前検査
- 検査結果に問題がなければ午後に手術を実施
- 当日夕方退院(必要に応じて一泊入院)
退院後は、傷口を舐めないようにエリザベスカラーもしくは術後服を着用してもらい、1週間〜2週間で抜糸に来ていただきます。また、必要に応じて皮内縫合の実施も可能です(舐めても糸が取れにくいのでカラーや術後服の着用が難しい子、同居がいる場合、性格上抜糸が難しい子など)。
▶︎術式で迷われる方へ
どちらの術式にもメリットがあります。
当院では、事前にしっかりとカウンセリングを行い、ご希望やご不安に寄り添いながらご提案させていただきます。
術式を「選べる」ことは、わんちゃん・ねこちゃんと飼い主さまがより納得して手術を迎えるための、当院の大切なこだわりです。
よくあるご質問 Q&A
Q1:避妊手術をしないと病気になりますか?
必ずしも病気になるわけではありませんが、避妊していれば防げる病気は多いです。特に子宮蓄膿症や乳腺腫瘍は、発症すると治療が大変なこともあります。
Q2:避妊手術後の性格は変わりますか?
基本的に性格は大きく変わりません。むしろ発情によるイライラや落ち着かない様子がなくなり、穏やかになる子もいます。
Q3:費用はどのくらいかかりますか?
犬や猫、体重や術式によって異なります。お気軽に当院までお問い合わせください。
最後に
私たちは、避妊手術は病気を予防し、動物たちが長く健康に過ごすための大切な手段だと考えています。
とはいえ、手術を受けるかどうかは、飼い主さんそれぞれのご事情やお気持ちがあると思います。
不安や疑問があれば、どんなことでもご相談ください。
一緒に、わんちゃん・ねこちゃんの未来を考えていきましょう。