右京動物病院(京都の動物病院)右京動物病院ブログ・お知らせ腸穿孔(注:術中写真あり)

腸穿孔(注:術中写真あり)

診察

5月4日(金)

゜゚・*:.。..。.:*・゜GWの診察について*・゜゚・*:.。..。.:*・゜
嵯峨野分院は祝日休診となりますので、5月4,5日は休診とさせていただきます。
本院は年中無休で診察しておりますが、祝日においては午前診察のみとなりますのでご注意ください。
(救急の場合は夕方まで獣医師が待機していますので、お気軽にご連絡ください。)

また分院長は祝日は本院にて診察となりますので、ご理解のほどお願いします。
またGW期間中の出勤獣医師についても変更がございますので、
各獣医師の出勤状況詳細についてはホームページ トップ画面の出勤表をご確認ください。

 

こんにちは。分院長の太陽です。

皆さんはゴールデンウィークいかがお過ごしでしょうか。明日あたりから帰宅ラッシュでしょうか。お気をつけておかえり下さい。

今回は腸穿孔を起こした子の話をします。

腸穿孔とは腸に穴が開くことで、腸内細菌が腹腔内に漏れ出てきて強烈な腹膜炎を起こしてしまうものです。腸に穴が開く原因は様々ですが、異物による機械的な刺激や、腫瘍性変化、薬の副作用によるものが多いです。

食欲不振で来院した猫のC君。検査の結果ごく微量ですが腹水が溜まっていることがわかりました。慎重に腹水を抜いてみるとクリーミーな腹水が採取されました。膿んでいそうな印象です。顕微鏡検査をしてみると様々な形の細菌が見られ、腸穿孔が疑われました。

腸内細菌は腸内フローラと呼ばれるように、花畑のように多種多様な細菌の集まりから構成されています。このことから腹水内に多様な細菌が見られた場合は腸に穴が空き腸内細菌が腹腔内に漏れ出ている可能性が高くなります。

C君の病態は深刻で、体温上昇や血液検査結果から、DIC(播種性血管内凝固といい、あらゆる病気の終末像、末期状態と言えます)に陥っていると考えられ一刻の猶予も許しません。DICの治療法はその原因を取り除く他ありません。

確定的ではありませんが今回は腸穿孔から菌血症に陥り、敗血症からDICに至ったものと考え外科の介入を考えなくてはならない状況でした。抗生剤の大量投与や点滴療法などの効果も現れず、手術をせざるを得ない状況であると思われますが、すぐに手術に移れない理由がありました。

一般的にDICになるとALBと血小板が劇的に低下してきます。C君も例外ではなく、これらの数値が顕著に低下していました。

ALBが低下すると傷口が癒合不全を起こし、傷が治りません。血小板の低下は止血機能の低下を意味します。つまり腸の病変部を切除する際出血死をしてしまう可能性と病変部を取り除いた腸を縫合する際、傷口が癒合不全を起こす可能性があったのです。

そこで手術に先立ち、輸血を行い、ALBと血小板を補うことにしました。ドナーは同居のG君から。(すんなりとドナーが見つかることは幸運なことです)

ただし輸血もドナーとレシピエントの血液が適合しなければ行うことはできません。適合試験の結果なんとか輸血は行えそうですが、拒絶反応が出る可能性もあるので、ショック防止の輸血前処置や、輸血中の慎重なモニタリングをしながら輸血をしていきます。

なんとか無事に輸血は終わり、やっと手術の準備が整いました。
ここからがやっと手術となり、さらに気の抜けない時間が続きます。

※ ここからは術中の写真が出ます 苦手な方は見ないでください

いざ開腹してみると腹水の中に便が浮遊しています。ありえない光景です。

 

慎重に腸を手繰り、病変部を探していくと、明らかに穿孔を起こしている部分を見つけました。(腹腔内組織である大網が癒着していました)

癒着部を解いていくと・・

腸を突き破り、火山噴火のように便が腸の穿孔部から噴き出しています。

 

穿孔部周辺は広範囲に壊死しており、まとめて切除する事にしました。(この部分に腫瘍性変化が起きている可能性があるので少し広めに切除します)

輸血をしたとはいえ、基準値に比べるとまだまだALB、血小板は低く、より一層繊細な技術が要求されます。

 

無事腸の吻合も終わりリークテストをして(吻合部に隙間がないかの確認)、手術は終わりです。

なんとか手術も終わりましたが一息つく間もなく術後の集中内科治療です。

DICに陥っている状況では血管内に血栓ができ、多臓器不全に陥る危険が常につきまといます。また腸病変は取り除いたものの、血液内に侵入した細菌の除去に関してはこれからの内科治療と、本人の体力次第です。

腸の手術後は絶食期間を設けなければいけないので、栄養補給は栄養点滴として血中に直接流し込んでいきます。(普段使用している補液用点滴とは異なり、要求栄養量を計算して独自に調合する点滴です)

C君はその後、ICU管理で3日間、計10日以上の入院の結果、無事退院することができました。

今では元気にお尻を突き上げてご機嫌ポーズをとってくれています。

しかしながら提出した腸病変の病理組織検査結果はリンパ腫という癌でした。リンパ腫は全身性の腫瘍性疾患であり、手術による根治はありません。これから次の治療へ進んでいく予定です。

なんとか本人とご家族にとって暖かな時間が少しでも長く続くよう、これからも一緒に病気と闘っていこうと思います。

 

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