肺水腫ってどんな病気?【獣医師がわかりやすく5分で解説】
肺水腫とは?
「急に呼吸が荒くなった」「苦しそうにしている」
そんな症状がみられた時、命に関わる可能性がある病気のひとつが肺水腫です。
肺水腫とは、本来は空気で満たされている肺の中に水分(液体)が溜まってしまう状態を指します。これにより酸素をうまく取り込めなくなり、呼吸困難を引き起こします。
特に犬では、僧帽弁閉鎖不全症などの心臓病に続発して起こる「心原性肺水腫」が多くみられます。
肺水腫の原因は?
肺水腫は大きく分けて「心臓が原因のもの(心原性)」と「それ以外(非心原性)」に分けられます。
心原性肺水腫
最も多いタイプで、心臓の機能低下によって血液がうっ滞し、肺の血管から水分が漏れ出ることで起こります。
特に、僧帽弁閉鎖不全症の進行により左心房の圧が上昇することで発症します。
非心原性肺水腫
以下のような原因で起こります。
- 感電や外傷
- 重度の感染症
- 誤嚥(ごえん)
- 神経疾患 など
どんな症状がでる?
肺水腫は急激に悪化することが多く、早期に気づくことが非常に重要です。
初期症状
- 呼吸がやや速い
- 落ち着きがない
- 元気・食欲の低下
進行すると
- 呼吸が荒くなる(努力呼吸)
- 咳が出る
- 横になるのを嫌がる(起座呼吸)
重篤になると
- 口を開けて呼吸する
- 舌の色が紫になる(チアノーゼ)
- ピンク色の泡状の液体を吐く
このような症状が見られる場合は、緊急性が非常に高い状態です。
どうやって診断するの?
- 聴診
肺の音(湿った音)や心雑音の有無を確認します。 - レントゲン検査
心拡大や肺の白っぽさがないかを確認します。 - 超音波検査
心臓の動きや弁の状態を評価し、心原性かどうかの判断を行います。 - その他
必要に応じて血液検査や血中酸素濃度の測定を行います。
治療法は?
内科治療(緊急治療)
肺水腫は命に関わるため、迅速な対応が必要です。
- 酸素吸入
- 利尿剤(肺の水を減らす)
- 血管拡張薬
- 強心薬(必要に応じて)
多くの場合、入院下で集中的な治療を行います。
原因疾患の治療
肺水腫の改善後は、原因となっている病気の管理が重要です。
- 僧帽弁閉鎖不全症の内科治療
- 必要に応じて外科治療の検討
再発を防ぐために、継続的な治療と定期検査が必要となります。
予防することはできるの?
肺水腫そのものを完全に予防することは難しいですが、原因となる心臓病の管理が重要です。
- 定期的な健康診断(聴診・レントゲンなど)
- 心臓病と診断された場合は継続的な投薬
- 呼吸数のチェック(安静時)
特に、**安静時呼吸数の増加(1分間に30回以上)**は早期の異常サインとなるため、日常的なチェックが有効です。
まとめ
肺水腫は、急激に進行し命に関わる非常に危険な状態です。
しかし、早期に異常に気づき適切な治療を行うことで、回復できる可能性も十分にあります。
特に僧帽弁閉鎖不全症などの心臓病を抱えているわんちゃんでは、常に肺水腫のリスクがあるため、日頃から呼吸の様子をよく観察することが大切です。
「いつもと違う」「呼吸がおかしい」と感じた場合は、様子を見ずに早めに動物病院を受診するようにしましょう。
迅速な対応が、大切な命を守ることにつながります。
