犬猫の馬尾症候群【獣医師がわかりやすく5分で解説】
馬尾症候群って何?
馬尾症候群とは、腰椎の一番後ろ(L7-S1周辺)で神経が圧迫されることにより、痛みや神経症状が起こる疾患です。
この部位には、後ろ足・尾・排尿排便に関わる神経が束になって走っており、その様子が**馬の尻尾(馬尾)**に似ていることから「馬尾症候群」と呼ばれています。
犬で多くみられ、猫では比較的まれですが、見逃されやすい疾患の一つです
どんな子がなりやすいの?
特に以下の犬種で発生が多いとされています。
- ジャーマン・シェパード
- ラブラドール・レトリーバー
- ゴールデン・レトリーバー
- ボクサー
- ダルメシアン
また、
- 中〜大型犬
- 中高齢(5歳以上)
- 運動量が多い犬
- 肥満な犬
で発生しやすい傾向があります。
猫ではまれですが、高齢猫・脊椎変形を伴う猫で発生することがあります。
診断の仕方は?
まずは動物さんの状態を丁寧に観察しどの程度症状が強いか獣医師が判断します。追加でレントゲン検査を行ったりします。最終的な診断はMRI検査で行うことが推奨されています。
MRI検査
馬尾症候群の最終診断は主にMRI検査にて行います。MRI検査では脊髄や神経の根本の描出が可能で、椎間板、靱帯などの軟部組織の評価も行うことができるので推奨される検査です。当院にはMRIの機器がないため提携の二次診療施設で検査を依頼させていただいています。MRI検査を行うことで病変部分をはっきりさせるだけではなよく似た他の疾患を除外できます。

治療法は?
大きく分けると内科治療(保存療法)と外科治療の2つに分かれます。内科治療とは痛み止めや安静をすることで症状の改善を図る方法です。外科治療とは全身麻酔をかけて手術で治療をする方法で、神経を圧迫している骨や椎間板、靭帯を切除します。内科治療に反応しない場合や歩行障害や排尿排便障害がある際に推奨されます。
馬尾症候群に関するよくある質問
・手術しなくても治りますか?
→ 症状が軽度な場合、(排尿排便障害がない/尾の麻痺がない/尿漏れがないなど)3〜6週間の厳格な安静と内科治療で改善する場合があります。内科治療を7〜10日ほど行っても改善傾向に至らない場合は外科治療を推奨します。
・術後、後脚が動くようになりますか?
→術後2〜4週間で改善する患者が60〜80%です。ただし完全な回復までは3〜6ヶ月かかる場合があり個体差があります。術前に数ヶ月にわたる疼痛が続いていた経緯があったり、完全麻痺がある場合は回復が限定的になる場合があります。
・歳をとった(高齢)での手術はやめた方がいい?
→年齢だけを理由に手術を避けるべきではありません。術前の全身検査で安全性を確認できれば10歳以上でも手術は可能な場合が多いです。むしろ早期の外科的介入により長期のQOL(生活の質)を著しく改善させます。麻酔リスクについては、獣医師とご相談ください。
・くり返すことはあるの?
→可能性はあります。術後も体重管理や適切な運動を行うことで予防することができます。
まとめ
馬尾症候群は
✔ 見逃されやすい
✔ 加齢と間違われやすい
✔ 早期診断がとても重要
な疾患です。
「最近歩き方がおかしい」
「お尻を触ると嫌がる」
と感じたら、早めに動物病院へご相談ください。
