犬猫のノミ・マダニ予防について【獣医師がわかりやすく5分で解説】
ノミやマダニは犬や猫に寄生する外部寄生虫であり、皮膚炎だけでなくさまざまな感染症を媒介することが知られています。
近年は温暖化や生活環境の変化により活動期間が長期化し、通年予防が推奨されることも増えてきました。
今回は犬・猫のノミ・マダニ予防について解説します。
ノミとは?
ノミ(主にネコノミ)は犬や猫の皮膚に寄生し、吸血する外部寄生虫です。
成虫は動物の体表で生活しますが、卵は環境中(カーペット、寝床など)に落ち、幼虫→蛹→成虫へと発育します。つまり、見えているノミは全体のわずか5%程度で、残りの95%は環境中にいるとされています。
適切に予防していれば大量寄生は防げますが、放置すると増殖してしまいます。
マダニとは?
マダニは草むらや公園などの屋外環境に生息し、動物や人に付着して吸血します。
数日間にわたり吸血する特徴があり、その過程で病原体を媒介することがあります。
近年は地球温暖化などの影響で活動期間が長期化しており、地域によってはほぼ通年注意が必要とされています。
症状は?
ノミによる症状
- 強い痒み
- 脱毛
- 皮膚炎
- 寄生虫の感染(瓜実(うりざね)条虫)
- 重度感染で貧血(特に子猫・子犬)
特にノミアレルギー性皮膚炎(FAD)は、わずか数匹でも強い炎症を引き起こします。
マダニによる症状
- 局所の皮膚炎
- 貧血(大量寄生時)
- 発熱
- 元気消失
マダニ感染で最も重要なのは、マダニが媒介する感染症です。マダニ媒介の感染症に感染すると貧血、発熱などの症状を示します。
また、特に近年問題となっているのが重症熱性血小板減少症候群(SFTS)です。これはマダニ媒介ウイルス感染症で、犬猫だけでなく人にも感染し、致死率の高い感染症です。日本国内でも報告が増加しています。
人にも感染する
ノミ・マダニを媒介する一部の感染症は人獣共通感染症であり、人にも感染する可能性があります。
- ノミ:瓜実条虫
- マダニ:SFTS、日本紅斑熱など
「ペットの予防」は同時に「ご家族の予防」でもあります。
ノミ・マダニ予防について
予防期間は?
マダニは気温が13℃前後から活動するとされ、
近年は温暖化の影響でほぼ通年活動が報告されています。
ノミも室内環境では一年中繁殖可能です。
そのため当院では通年予防(1年中)を推奨しています。
予防方法は?
現在は安全性が高く効果も非常に高い予防薬が開発されており、当院でも複数の予防薬を備えています。
- スポット(皮膚滴下)タイプ(犬、猫両方)
- 錠剤タイプ(犬のみ)
- おやつタイプ(犬のみ)
予防薬の種類は体重や生活環境により異なるため、詳しくはご相談ください。
室内飼育なら予防は不要?
室内飼育であれば感染しないと思われがちですが、
- 人の衣服に付着して侵入
- ベランダ、庭から侵入
- 動物病院、トリミングサロンでの接触
など感染経路は複数あります。このことから、室内飼育でも予防は必要です。
まとめ
- ノミ・マダニは皮膚炎だけでなく感染症を媒介する寄生虫
- 人にも感染する病気がある
- 近年は通年予防が推奨される
- 室内飼育でも予防は必要
- 月1回の確実な投与が大切
フィラリア予防と同様に「感染してから治療する」のではなく、「感染させない」ことが重要です。
大切なご家族を守るために、ぜひ定期的な予防を行いましょう。
