犬のリンパ腫とは?【5分でわかる基礎から治療・早期発見のコツ】

犬のリンパ腫は、犬に最も多い腫瘍のひとつです。この記事では「リンパ腫とは何か」「症状のサイン」「検査や治療法」「予後や寿命の目安」までを、5分で読めるように解説します。
リンパ腫ってなに?
白血球の一種であるリンパ球が腫瘍化した「血液のがん」です 。
犬の腫瘍全体の約7~24%を占め、かなり発生頻度が高い腫瘍です。
主なタイプ分類
多中心型:最も多く(約80%)、体表のリンパ節が腫れ、症状が進行すると肝臓や脾臓にも広がります。
消化器型:リンパ腫全体では5〜7%、下痢・嘔吐・食欲不振など消化症状が中心。無治療だと余命1ヶ月、治療しても中央値2〜3ヶ月と予後は厳しいです 。
縦隔型:胸腔内で発生し、咳や呼吸困難が現れることがあります。
皮膚型/節外型:皮膚や眼・神経など特定の部位に発生し、希なタイプです。
症状のサイン 飼い主が気づきやすいポイント
多中心型では、「首やあごの下のしこり」「なんとなく食欲が落ちた」「体重減少」「元気がない」などが初期のサインになることがあります 。
消化器型では、下痢・嘔吐・血便などの症状が目立ちます。
縦隔型では呼吸の異常が現れることがあります。
皮膚型では、皮膚の赤み、腫れ、かゆみ、フケ、脱毛、そして潰瘍やしこりなどが現れますが、他の皮膚病と区別がつきにくいです。
診断方法/検査の流れ
体表リンパ節の腫れを触診
→ 細胞診(細い針で採取して顕微鏡で診る)
→ 必要に応じて組織生検やクローナリティ解析(遺伝子検査)、免疫染色、画像診断(レントゲン検査・エコー検査・CT検査)や血液検査でステージ(がんの拡がり)を評価します 。
病理診断や免疫表現型はリンパ腫の分類・予後を見立てるために重要です。
治療方法と副作用
化学療法(抗がん剤)が中心。複数の薬剤を使う「多剤併用療法」が標準治療です。
CHOPプロトコール(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロンの併用療法)が標準治療として広く使われています。
副作用は、通常は軽度である場合が多く、犬が想像よりも比較的元気に治療を継続できるケースも珍しくありません。
具体的には、白血球の減少、消化器症状、膀胱炎などが起こることがあります。
一方で、治療中に副作用が現れたグループの方がより高い 生存期間 を示した例もあり、適切な薬剤強度を維持することが重要とされています。
対症療法として、ステロイドの使用で一時的に症状を改善する場合もありますが、根本治療ではありません。その場合の寿命は1か月程度と言われています。
消化器型は予後が悪く、治療をしても中央値 2〜3ヶ月ほどと言われています。
病型・治療内容 | 生存期間中央値 |
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多中心型・CHOP治療 | 約10〜14ヶ月(約1年) |
CHOP治療全般 | 約1年(中央値) |
消化器型リンパ腫・治療後 | 約2〜3ヶ月 |
無治療(多中心型) | 約1〜2ヶ月(4〜6週) |
B細胞型(治療群) | 平均生存:475日(約16ヶ月) |
T細胞型 | 平均生存:約40日(約1.3ヶ月) |
早期発見とその重要性
無治療の場合、数ヶ月で命を落とすことも多いので、早期発見・早期治療が非常に重要です。
定期的な健康診断や、日頃からのスキンシップでリンパ節を触る習慣をつけることで、早めに異変に気づくことができます。
まとめ
- 犬のリンパ腫は免疫細胞(リンパ球)のがんで、発生頻度が高い
- 主なタイプは「多中心型」「消化器型」「縦隔型」など
- 初期症状は「しこり」「食欲低下」「元気消失」などがある
- 診断には触診・細胞診・画像検査・血液検査が必要
- 早期発見・早期治療が予後改善のカギ。気になる変化があれば受診を