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右京動物病院ブログ

8月12日(火) 手術の意義・是非

カテゴリー: 診察 
8月12日(火)

台風も無事に過ぎ去ってくれて
またいい天気が続く日になりましたね
久しぶりのブログ投稿ですいません
そしていつも読んでくださっている方々ありがとうございます
泉南時代からのオーナーさんの応援もすごく力になっています

お盆中でも当院は診察しておりますので
なかなか休めませんが最近はゆったりしています 
しかし暑くジメジメした時に多い病気もあります
熱中症や皮膚病なんかは有名ですね

今回の暑い時期に生じやすく
私の一番苦手な、そして嫌いな病気です 
「ハエウジ症」
免疫力の落ちた動物に産みつけられたハエの幼虫が寄生してしまう病気です
簡単にいうと生きたまま虫に喰われるということ
これほど怖い病気はないんじゃないでしょうか
年を取った外飼いのワンちゃんに生じやすいのですが
今回は室内飼いのワンちゃんでした

以前から胸にあったシコリがはじけてしまい
近医で治療していたが軟膏をもらって塗るだけでは何も良くならず
ウジまで沸いてしまったとのことで来院されました
(気持ち悪い写真になりますのでアップする際は注意してみてください)
P6091074 
来院時、毛を刈る前の写真です
P6091078 P6091073
毛を刈ると、自壊してクレーター状に潰れたデキモノがあります
癌ではないから様子を見ようと言われてずっと放っていたとのことですが・・・
こういう現実は辛いですね
発生部位・細胞診の結果から考えて乳腺腫瘍で間違いありません
そしてそこにはウジが住み着いていました

傷を洗浄し治療しましたが
癌によって生じたこの大きな傷は元通りに治ることはなく
ずっとグジュグジュの痛い状況が続く可能性が高いであろうことを伝えました

しかし手術をするにも高齢であること
そしてリンパ節も腫れており癌も周囲の筋肉と固着していることから
手術をしても癌の根治は望めないでしょう
転移などで術後数ヶ月で亡くなる可能性もあります

あとは飼い主さん家族と話し合いながら治療方法を決定していくことになりますが
今回は手術による摘出を希望されました

手術にはもちろんデメリットがあります
 ・手術には多額の費用がかかること
 ・手術をしても命があとどれくらいもつかは分からない
 ・何より手術に耐えられるかどうか

しかし今までずっと過ごしてきた大事な家族だからこそ
最後の最後を苦しく痛いままウジに喰われて見送るのは辛い

たとえ費用がかかろうとリスクがあろうと
残された時間がいかに少なくても
最後に苦しむことなく笑顔で見送ってやれるなら・・・
それは治らないからという消極的治療ではなく
今後のQOLを高めて余生を暮らすための積極的治療なのだと思います

そうなれば後は全力を尽くすだけです
イメージトレーニング、局所解剖の理解、そして最新機器を用いて手術に臨みました
P6141171 P6141172 P6141184
予想通り周囲との固着はひどく
腫瘍細胞をできる限り残さないように丁寧に剥離していきます
そして・・・筋肉もはぎながら腹膜ギリギリを残しながら手術は無事に終了しました
P6141194
かなり痛々しい写真ですが
自壊していたデキモノはなくなり術後の後遺症もなく
入院3日程で食欲も出て元気に帰っていってくれました

そして現在はウジや潰瘍に悩まされることもなく元気に家族と過ごしてくれています
病理診断の結果はもちろん「悪性の乳腺腫瘍」で脈管浸潤も起こしており
結果としては完治できませんでした
しかし
今元気にしているこの子を思うと手術は正解だったと信じています
皆さんはどう思われるでしょうか?

以前手術ができるようになって
調子づいていた私の眼を覚まさせてくれた大先輩の言葉があります
「手術ができることに慢心してはいけない。実際には手術が終わってからが本当の勝負で
5年後、10年後にあのとき手術をしてよかったと思える手術以外はするべきではない」

今も心の中で常に自分に言い聞かせています

今日は真面目な話になってしまいましたが
気持ちを切り替えて明日からも頑張っていきましょう

では今日はこの辺で・・・・ 
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